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出張所からのたより

2023年 4月

奥多摩と林業

多摩川林務出張所

 奥多摩町はスギ、ヒノキの人工林に囲まれ、林業がさかんに行われていた時代の名残がうかがえます。しかし、現在のようにスギ、ヒノキを植林し始めたのは明治時代中期からのことで、江戸時代には天然林から木材を、針葉樹や広葉樹など樹種を問わず収穫していました。
 奥多摩町の山林は急峻であり、大きくて重い木材を搬出するには相当の手間が必要になります。重機の無かった時代には、例えば修羅や桟手(※1)を使って川まで木材を運び、川の流れを利用して大都市(江戸)まで流していました。しかし、地形が入り組んでいたり、引っかかりやすい大きな岩があったりするなどの難所があります。そういった場所が、作業中に歌う「木あげ唄」として残されています。

これも御山の吉凶でヨイヨイ
元締様を祝いましょう
一の難所は惣岳でヨイヨイ
二の難所が立橋でヨイヨイ
三の難所が鳩の巣でヨイヨイ
難所難所が無事に済み目出度くドイレを祝いましょう
ヨイヨイがよいと承知ならたのむよエンヤラエーサイタカヨ (※2)

 鳩の巣渓谷や惣岳渓谷は現在、その風光明媚な景色が有名ですが、昔の人々がその場所でどのように生計を立てていたのかを想像するのもまた面白いかもしれません。

※1 木材を滑らせて運ぶための運搬路 (参考:中部森林管理局HP 2023/3/22 https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/kiso/morigatari/unzaihou.html)
※2 奥多摩町誌編纂委員会,『奥多摩町誌資料集四 奥多摩町の民族 -生業と生活―』奥多摩町教育委員会, 1981, 14p. 

引田治山工事について

秋川林務出張所

場所:東京都あきる野市引田

 治山事業は山地災害から生命・財産を守るとともに、水源のかん養・生活環境の保全を図る極めて重要な事業です。
 今回は引田治山工事についてお知らせします。この現場は令和元年台風19号により斜面が崩れました。斜面下部には動物保護団体の施設やサマーランドの駐車場があり、今後の集中豪雨等による崩壊や土砂流出によって、それらの施設が危険にさらされる可能性があります。そこで、周辺施設の安全を確保するため、山腹工事を行いました。本工事は令和5年3月に完了しました。
 今後も台風や集中豪雨等で山地災害が引き起こる可能性があるため、治山工事をすることで、安心安全な生活環境を整備していきます。

4月出張所たより1(秋川)
施工前

4月出張所たより2(秋川)
施工後

林道の高規格化工事

浅川林務出張所

場所:林道ににく沢線(八王子市上恩方町地内)

 林道とは、森林の保全や整備、木材搬出など、林業経営のために必要な通行を目的として作られた道です。
 林道の高規格化工事では、林道を拡幅し、より大型の林産物の搬出車両が通行可能となることで、森林の管理及び搬出等にかかる経費削減を実現します。
 令和5年度に竣工した林道ににく沢線においては、林道を2.8mから4.0mに拡幅し、通行車両の安全確保を図るため、ガードレールや側溝を設置したほか、路面洗堀の対策としてコンクリート路面工、落石対策としてモルタル吹付工を実施しました。
 この工事の実施により、効率的な林業経営とより安全な林道の通行が可能になりました。

4月出張所たより1(浅川)
施工前

4月出張所たより2(浅川)
施工後