多摩地域の森林・林業の概要
概要
森林は木材の供給をはじめ、水源のかん養や災害の防止、二酸化炭素の吸収など様々な機能を発揮しています。多摩地域の人工林の多くは戦後に造林され、森林資源は現在、伐採・利用の時期を迎えています。
しかし、長期にわたる木材価格の低迷により、林業及び林産業の採算性は著しく低下しました。その結果、積極的な伐採や造林が行われず、若い森林が極端に少なくなり、高齢の森林が増加しています。東京都では、森林が持つ多面的な機能を維持・増進していくためには、伐採・利用・植栽・保育という森林の循環を促進させることが重要であるという視点に立ち、様々な施策を展開しています。
高い人工林率
東京都の森林面積は東京都全域のおよそ4割を占めています。その森林の約7割が多摩川、秋川、浅川流域の多摩地域西部に偏在しています。多摩地域の森林の7割が私有林です。
※多摩川:青梅市、奥多摩町、羽村市、瑞穂町
秋川:あきる野市、日の出町、檜原村
浅川:八王子市、町田市、日野市、稲城市、多摩市、武蔵村山市、東大和市、調布市
出典:『東京の森林・林業(令和5年版)』,p2
また、多摩地域の民有林(国有林以外の森林)のおよそ60%が人工林で、全国の民有林の人工林率45%に比べて、東京都の人工林率は高くなっています。
出典:『東京の森林・林業(令和5年版)』,p2
偏った林齢構成
人工林の林齢構成は、51年生以上(11齢級以上)が8割を占めています。
出典:『令和5年版 東京都森林事務所事業概要』,p3 より森林事務所作成
木材価格の傾向
国産丸太価格は全国的に低迷が続いており、東京でも過去30年の間に3分の1近くまで下落し、ウッドショックによる一時的上昇はあるものの、近年は概ね横ばいで推移しています。
出典:『東京の森林・林業(令和5年度版)』,p4
林業従事者数の推移と高齢化
国勢調査の結果を見ると、昭和35年には2,000人を超えていた林業従事者も平成17年には203人と激減しました。平成22年より集計方法が改定され単純な比較はできませんが、令和2年は358人となっています。同様に、雇用されて林業に従事している数は、令和2年に250人となっています。
また、林業退職金共済に加入する林業・林産業等従事者は、51歳以上が全体の33%を占め、令和4年度の平均年齢は46.4歳です。
出典:『東京の森林・林業(令和5年版)』,p5
施策の方向
国の法改正など森林・林業を取り巻く情勢が変化したことから、東京都農林・漁業振興対策審議会からの答申「持続可能な森林循環の確立と林業の経営力強化について」を踏まえ、「森づくり推進プラン」を改定し、令和3年6月に公表しました。
東京の森林・林業の役割や現状と課題を整理した上で、4つの基軸を定め、施策展開を図っていくこととしています。
【施策展開の基軸】
- 森林循環を促進し公益的機能を高める森林整備
- 生産性と収益性の高い林業経営
- 多摩産材をはじめとする国産木材の需要拡大
- 都民や企業等による森林利用の拡大
○『東京の森林・林業』・『森づくり推進プラン』については、東京都産業労働局農林水産部ホームページでご覧いただけます。
『東京の森林・林業』
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/nourin/ringyou/project/date/
『森づくり推進プラン』
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/plan/nourin/mori/